「物質工学科」からのメッセージ


物質工学科長からのメッセージ
物質工学科 学科長 西野 純一

小・中学生のみなさんへ

 現在社会では人工知能(AI)とスマートフォンの普及により暗記だけができる人は,労働市場において必要が無くなりつつあります.これからは,「記憶力」だけではなく「科学的な思考力」「問題解決能力」および「コミュケーション能力」が重要となっていきます.人間にはAIにはできない「ひらめき」があります.物質工学科の教員はバラエティ豊かな博士の学位を持っています.そして,我々の学科では,実験とシミュレーションおよび観察を通して科学的なものの見方や考え方を身につけさせ,「ひらめき」と考えることのできる技術者[研究者]の養成を目指しています.大学院生時代に自分の学んだ経験や実際の研究に基づいた科学的な見方・考え方を教授できる教員に15歳の入学時から教育を受けることができる点が,普通の高校にはない魅力のひとつと言えます.

 また,自動車産業の次に日本の工業で世界と戦える産業は、特殊セラミックス,炭素繊維,特殊プラスチックを代表とする素材産業です.素材分野で活躍する研究者・技術者をここ福井高専の物質工学科から目指しませんか?


 

物質工学科在学生のみなさんへ

学科長就任にあたって述べたいことが,3つあります.

  ・自分の人生は自分で決め,研鑽を重ね自らの魂を成長させましょう.
  ・科学的思考能力,問題解決能力およびコミュケーション能力を身につけましょう.
  ・正しい情報を得るために英語を学びましょう.

 最初に1つ目として,自分の人生は自分で決めましょう. 皆さんは何のために勉強しているのでしょうか? もう勉強をしたくないと言って,成績にものを言わせ給料の高い一流の企業に就職した後どうするのでしょう.出世するために上役の指示に従って幹部を目指すのですか,それとも定年まで無難に過ごすのがご希望ですか.親や誰かが決めた道,出世コースに乗っているだけの人生の何が面白いのでしょうか.自分の進路は自分で決め,研鑽を重ね自らの魂を成長させ,自らの定めた目標を達成しましょう.例年の傾向で就職先や進学先の決定後に残念な姿勢になる学生さんが少なからず見受けられます.就職や進学が決まったからと,手を抜くようでは,自らの魂を成長させることはできません.みなさんには自らを律し,素晴らしい学生の印象のまま本校を卒業され,素晴らしい人生を歩まれることを切に期待しています.

 2つ目は,私は以下に示すような、科学的思考能力と問題解決能力等を身につけて本校物質工学科を卒業してくれることを願い学科を運営していきます.

   1.批判的思考力と革新的発想力
   2.自己学習能力の獲得と目標を実現するための戦略的な学習能力
   3.複合的な問題の解決能力とそのために必要なコミュケーション能力
   4.論理的かつ科学的な思考力と分析能力
   5.オリジナリティの創出能力と問題を解決するための構想力
   6.「リーダー」または「殿(しんがり)」を務める能力
   7.科学に基づいた技術の設計,プログラミング能力
   8.ストレスに対する耐久力およびダメージコントコール能力
   9.正しい情報を収集する能力,および,その解析力を前提とした判断力

 最後に3つ目として,正しい情報を得るために英語を学びましょう.なぜならば,現在は論理的に考えれば真実ではないとわかることも,情報統制と恐怖に支配され「日本の新聞やテレビで報道していることは正しく,信用できる」,「日本語で検索してもヒットしないから,その事象は存在しない」などといった思い込みから,権威がある方の事実を歪曲したり事実を隠蔽したりしている発信が信じられ,逆に科学的根拠に基づいた発信が陰謀論とされたりしています.情報を鵜呑みにして信じるのではなく,その情報に関する利害関係等を調べ,どのような企業や組織がその情報の発信者に資金や利権を提供しているかを確認する必要があります.皆さんが普段使用しているPCやスマートフォンをはじめとする情報端末はインターネットを通じて世界中から情報を収集することができます.スマートフォンでゲームをしたり漫画を読んだりするだけではなく,英語を勉強するためのツールとして,更に日本語で書かれた情報とは桁違いの情報量の英語で書かれた情報を収集するための端末として活用してください.



新任教員からのメッセージ
教授 野元 昭宏

 皆さん初めまして。2024年4月に着任しました。前職は大阪公立大学(旧大阪府立大学)の工学部に勤めており、主に錯体化学、有機合成化学の分野で教育、研究にあたっておりました。福井高専では錯体化学を中心に研究を進めています。

 子供のころはよく淡路島に行っていたこともあり、海や魚が好きです。スポーツは少しの期間ではありますがラグビーをしておりました。大阪に住んでいたので、日本で行われたワールドカップにも花園ラグビー場まで見に行きました。残念ながら日本チーム戦はチケットが取れなかったんですけど、あまりにも盛り上がっていたので驚きました。

 高専の学生さんとは、同じ大阪公立の大阪高専の学生さんと実験する機会が多くあり、主に色素合成の錯体触媒開発に関する実験を一緒に行っておりました。その他、久留米高専、奈良高専などの知り合いがいて、高専生はどこでも非常に多くの実験をしていることを聞いています。実際に皆さんのカリキュラムを見ますと、多くの実習、実験が用意されており、本当に恵まれた環境です。ここでの経験は将来大きな武器になると思います。

 福井高専ではこのような学問での実力とともに、人間性を鍛えることにも重点が置かれています。ぜひ皆さんと一緒に、これからも本校を盛り上げていきたいと願っています。



 
   
物質工学科でバイオテクノロジーや新素材について学びませんか
平成30年卒業 木下明日香(大野市立開成中学校出身)
私は物質工学科の5年生でサントリープロダクツに就職が内定しています。 物質工学科では、バイオテクノロジーや新素材などを学べます。 ぜひ中学生の皆さんも物質工学科に入学して最先端の 「化学」を学び、ものづくりや環境などへ貢献してみませんか。


ノーベル賞を夢に勉強しませんか
名誉教授 吉村 忠与志

最近、日本人科学者が相次いでノーベル賞を受賞しています。いずれも化学分野をベースとした研究で、地道に実験を重ねた成果であり、とても誇らしくうれしいことです。特に田中耕一さんは「博士号を持たない受賞者」として有名になりました。鈴木章さんや根岸英一さんがクロスカップリングの開発で受賞しました。バイオの研究では、山中伸弥さんがiPS細胞で、大隅良典さんがオートファジーの解明で栄冠を得ています。私たち物質工学科は、夢に通じる化学のおもしろさに出会えるように実験を重視し、工夫をこらした授業を行っています。
皆さんも先輩達に習い、物質工学科で新しい可能性に挑戦してみませんか。
吉村先生



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