「物質工学科」(Department of Chemistry & Biology)とは?

 物質工学科は、産業全ての基である「素材(物質)」を化学の視点で学び、ヒトとモノの調和を目指した「考えることのできる人材」を育てます。
新世紀を迎えた今、環境に配慮した先端技術の開発が進められ、幅広い知識を生かした柔軟な思考を持つエンジニアが求められています。
物質工学科では、材料工学と生物工学という現代産業の中心的分野を化学の物差しで学び、化学を人のために活かせるエンジニアを育成します。


化学はおもしろい
 小さな原子が無数に集まってダイヤモンドや金などの物質をつくり、また他の原子同士が結びつくことにより無数の化合物が作られます。私たち生物もいろいろな原子やそれが結合した化合物からできています。化学は、原子や分子が持ついろいろな性質を巧みに利用し、新しいモノ(物質)を創り出す学問です。IT社会もバイオテクノロジーも化学が創り出す素材がなくては成り立ちません!化学は、全ての基礎だからこそ無限の面白さがあります。

  未来の素材 カーボンナノチューブ
 カーボンナノチューブは、文字通り炭素でできた直径数nm(1nm = 10億分の1m)の極小チューブです。面白いことに、この素材はその構造によって金属にも半導体にもなる事ができるので、いろいろな構造のカーボンナノチューブを繋ぐことでとても小さなデバイス(部品)を作ることができます。
素材界の期待度No. 1ルーキーです。 

21世紀は化学の時代!!
身の回りにあるプラスチックなどはもちろん、ファインセラミックスや光ファイバー、超伝導体に代表される新素材、IT社会の心臓部である半導体、ICを製造するための高純度シリコンや人工臓器の開発、微生物を利用した医薬品の製造や遺伝子組み換えなどのバイオテクノロジー、これらはすべて化学の創り出す素材の成果です。これから人類が直面する様々な問題の解決に化学は大きく貢献します。21世紀はまさに、化学の時代!化学を理解し、活かす技術者が必要とされる時なのです。


   
酵素はタンパク質で構成されており、細胞内の化学反応をコントロールする重要な働きをしています。写真(左図)の複雑な形を見てください。この独特な形が酵素の様々な性質を創り出しているのですが、元はアミノ酸がつながった1本のヒモが複雑に絡みあった構造をしています。
タンパク質ではありませんが、タンパク質と同様、DNAもこのようなヒモの構造から構成され、遺伝情報を保持しているんですよ。とても不思議ですね。



さらに物質工学科では、以下の研究を行っています。

1. 有機化学・有機合成化学
薬物代謝酵素は、薬を体内で思いもしない化合物に変化させるため、製薬において非常に重要です。この酵素の反応を試験管内で再現することで、難しい化学反応を実現する技術を研究しています研究しています。さらに化合物の構造をデザインし、機能性材料の開発を行っています。

2. 無機化学・材料工学
半導体など磁気媒体に欠かすことのできないナノスケールの金属薄膜や環境浄化に応用可能な微細繊維を開発しています。また、金属結晶をまるで生き物のように成長させ、形を作る技術を研究しています。

3. 分析化学
土壌や海水中の微量な元素の分析や回収を目指し、環境浄化や農業へ応用を目指しています。

4. プログラミング・シュミレーション

シュミレーション技術により、化合物がどのような構造や挙動を示すか、さらにタンパク質の変性(構造変化)の
メカニズムを探索しています。

5. バイオテクノロジー
・酵素反応により生じる微量の電流を測定し、環境汚染の原因となる化合物や病気に関わる化合物を迅速に検出するバイオセンサの開発を行っています。
・大腸菌や酵母の遺伝子組み換え技術を駆使し、環境浄化や農薬の検出・分解システムを探索しています。
・土壌中の微生物の検出技術で農業への貢献を目指しています。
・微生物の代謝を利用し、環境汚染物質を除去する技術(バイオレメディエーション)に取り組んでいます。
・モデル動物を用い、病気や生理現象の謎を探索しています。

6. 化学工学・反応プロセス工学
福井県の主要産業である繊維・界面活性剤などを専門とし、かつ化学製品製造に欠かせない化学工学・反応プロセスを探索しています。


 
有機合成化学には欠かせない機器分析を行っています。
大学などの研究機関でも使用されるような機器も本科で使用できますよ!


プログラミングシュミレーションを行っています。
卒業研究の様子です



バイオレメディエーション研究を行っている様子です。



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